企業CSR・社会貢献活動

花王株式会社

花王は、「よきモノづくり」を通じて、豊かな生活文化の実現に貢献できることを使命としています。"よきモノ"をお届けする事業活動とともに、よき企業市民として、社会に貢献することを目的に社会貢献活動に取組んでいます。

横浜自然観察の森友の会 雑木林ファンクラブ(団体のウェブサイト

「家にいると邪魔者にされちゃうけど、ここでは好きなことができるから、皆生き生きしているよ」。雑木林ファンクラブのメンバーはうなずきながらいっせいに笑った。上下関係なし、互いの職業は聞かない。とにかくいい汗をかこう。これが雑木林ファンクラブの暗黙の了解であり、活動を楽しむ秘訣なのである。
横浜の市街地から少し離れた、三浦半島の北のはずれに広大な森がある。横浜スタジアム17個分の広さを誇る「横浜自然観察の森」は、今から21年前の1986年に開園した。ここでの事業は、横浜市と、市から運営委託を受けている(財)日本野鳥の会、市民ボランティアグループである「横浜自然観察の森友の会」の三者協働で進められている。
横浜自然観察の森友の会には8つのプロジェクトがあり、連携しながら自発的に活動している。8つのプロジェクトは、季節の見所などの来園者への案内、カワセミ・チョウ・トンボの調査、野草の保護活動など、自然と触れ合い、学び、守り育てることを目的とした活動ばかり。
そのプロジェクトの1つが「雑木林ファンクラブ(略称ZFC)」であり、雑木林の育成と保全を目的にさまざまな活動を行っている。設立のきっかけは、この森全体の運営を行っている観察の森センターが同名の主催行事を実施したことだった。その参加者の中から、この森を自分たちの手で守り育てたいと思った人たちが「もりのボランティア説明会」に参加し、横浜自然観察の森の概要とボランティアについての話を聞いて、グループを結成した。

それぞれの個性を活かす

ZFCの柱となる活動には、下草刈りや間伐がある。  作業エリアや分担などの打ち合わせを行った後、鎌や草刈り機を使って下草刈りを行う。安全のために2メートル以内で一緒に作業をしない、以前植林した木は切らないなどの決め事は、メンバー一人一人にきちんと理解されている。下草刈りは、一人で行うと気が遠くなる作業だが、皆で協力し、刈り終わって綺麗になったフィールドを見ると、「スッキリしたね」とメンバーは満足そうだ。各々が使った鎌を砥石で研いで、次の人が使いやすいように手入れをすることも大切な作業の一つである。
間伐をするときは、木が病気にかかっていないか、歩行者の邪魔になっていないかなどを自分たちの目で確かめ、森の中を回りながらどの木を切れば良いのか決めていく。森には外来の木が多く、この森が全て在来種の木に戻ることがメンバーの願いだという。
切り倒した木や不要な枝を利用してさまざまな作品を作り上げるのも、活動の楽しみの1つだ。自分の得意分野を活かして、チェーンソーで間伐材を製材したり、余った木切れで小さな家やコースターを造ったり、しいたけを栽培したり、中には大きなアルプホルンを作ってしまう人までいて、活動範囲はとても広い。
最近では近隣の高校の授業や企業の社内研修など、外部からの要請で森づくりの体験活動の場を提供することも増えていて、活動の幅はますます広がっている。
間伐材などを利用しての木工も、活動の楽しみの1つ。

自分たちも楽しく

メンバーの森に対する思い入れは強い。
試行錯誤を繰り返しながら一つの森を皆で育てる喜びは、あまり自然を身近に感じることのない私にとって、とても羨ましく感じた。なぜこの活動に参加されたのかをメンバーの片岡さんに質問すると、「机にずっと座ってばかりいた仕事を退職した後、人生二度おいしく、今まで経験したことのない活動をしようと思ったからだよ」とおっしゃった。ここは森を守る活動の場でもあり、メンバーの憩いの場でもある。
ZFCは、木の利用価値を最大限に引き出している。曲がった木でも絶対に捨てたりせずに利用する。森を守らなければならないという使命感に縛られているのではなく、森の大切さを自分たちの活動に参加し、汗をかくことによって身を持って知ってほしいという、メンバーの強い思いが伝わってきた。その想いを示すかのように、ZFCと書かれたおそろいの帽子には、それぞれ木を丸く切ったネームプレートが付いていた。一度参加すると病み付きになる、魔法のような団体に、一度自分の目で、自分の体で体感してみてはどうだろうか。
ZFCは森を守る活動の場であると同時に、憩いの場でもある。
活動に参加して-執筆担当:上田 真梨子 法政大学人間環境学部 人間環境科学科横浜という大都会の中にこのような大自然が未だに残っていることにとても驚いた。森を守ることはとても大変なことであり、簡単に機械を操作できるわけではない。しかし、ZFCのメンバーの活動を見て、苦労を語ることよりずっと楽しい活動の方が多いのだと思った。「苦労したことなどはありますか」という質問に対して、「特にないかな」と言われた時、少し拍子抜けした。お昼に豚汁を食べながら途絶えることのない話をし、笑っているメンバーの方々を見て、これがZFCの最大の魅力だと思った。
人生の大半を仕事に費やし、退職した今本当に自分がやりたいことをやっているメンバーの姿を見て、私も絶対に退職したら自然の中で体を動かしたいと心から感じ、森を守ることの大切さは、将来に渡って受け継がなければならないと思った。都会の人々はあまり森に入って活動に参加する機会はないが、森の偉大さは無限であり、森の中で一度大きな深呼吸をすることによって今まで悩んでいたことも忘れてしまう気がした。