企業CSR・社会貢献活動

花王株式会社

花王は、「よきモノづくり」を通じて、豊かな生活文化の実現に貢献できることを使命としています。"よきモノ"をお届けする事業活動とともに、よき企業市民として、社会に貢献することを目的に社会貢献活動に取組んでいます。

みくまりの森サポートクラブ

 みくまりの森は、広島駅から車で10分の距離にある里山だ。政令指定都市として栄える広島市に囲まれている府中町も「町」としては全国で1番目の人口数を誇る。自動車のマツダの本社などもあり、産業も栄えるこの町に突如として現れる自然の姿に、初めて来る人は驚くことだろう。そんな府中町にある水分峡森林公園の森林を管理するボランティア団体が「みくまりの森サポートクラブ(以下、サポートクラブ)」である。今回、会長の小林富士馬さんや広報誌担当の中村哲彦さん、担当の力山彰さんをはじめとした団体の方にお話を伺った。

産業と自然が一体となった町、府中町

 「みくまりとは山から流れ出る水が分かれる所で、水をくばる意味がある」と会長の小林さんが言われるように、水分(みくまり)峡は、文字通り水が豊かな場所である。遊歩道の脇には小川や池があり、水の神様が祀られる水分神社も公園の敷地内に存在する。「ほら、この小さいほうの池は下級生が遊ぶ所で、上級生になるとそのでっかくて深い上の池にいけたんよ」と、生まれも育ちも府中町の小林さんがこの森の昔の姿を語ってくれた。夏は水遊び、秋は松茸・・・生活と 里山が密接に関わっていた。
 その一方で、府中町は戦前から産業が発達した町だった。「企業城下町」と住民の人が表す程、様々な産業が発達して町も潤ってきた。自然と産業と人 が上手く共存していた町だったそうだ。
水分峡公園の入り口にある管理塔。

行政と一緒に水分峡を綺麗にしていく

 この均衡が崩れ始めたのが、1960年代年代から「松枯れ」が起こり始めた時だ。赤松が大半を占める水分峡ではこの問題は深刻で、県の方で対応はしたが進行を食い止めることが出来なかった。行政は私有林を買収し、1989年から10年で管理道や登山道は整備したものの、広い敷地であるが故に、その後の手入れが十分に出来なかった。
 荒れていく山の現状を府中町は地域の住民に説明して協力を求めた。小さい頃にこの山で遊んでいた人、山歩きが趣味の人・・・行政からの呼びかけがきっかけとなり、2006年12月に「みくまりの森サポートクラブ」が結成された。団体の方は実際に山に入り現状を確認し、活動場所を「石ころび池」周辺に決め、活動を開始した。
 「おぉ、来るたびに綺麗になってるね」と常連の登山客の方が声をかけてくれるそうだ。「登山客が来た時に、もう一度来たいなって思ってもらえるような場所にしたい」と小林さんは目標を語ってくれた。このような熱い思いを胸に行政と協力しながらサポートクラブは水分峡を綺麗にする活動を行っている。
水分峡管理塔に掲示してある広報紙。毎月発行されている

「自分はこうしよう、これを作ろう」-自然の中での子どもたちの発想力

 サポートクラブの活動は森林や遊歩道の整備活動だけではなく、環境学習活動やクラフト活動など地域の子どもたちとの交流のためのイベントを企画することも多い。「子どもたちの発想力の豊かさにはいつも驚かされる」と団体の人たちは口を揃える。
 夏休みに公民館でものづくりイベントが開催され、サポートクラブが共催した時のことだ。 森で取ってきた木の実や枝を使って作品を作るイベントでは、学校では出来ない「自分はこうしよう、これを作ろう」という自主性を学ぶ良い 機会になったと力山さんは感じているそうだ。団体の方が、自慢げに見せてくださった作品は、同じ木の実や枝から作られたとは思えないほど で、子どもたちの独創性や発想力に圧倒される作品もあった。  「木を切ったり何かを作ったりする技術的なこともあるけど、大人のおじいさんたちと一緒に作業するという人間的な接触が勉強になると思うんよ」と団体の人たちが言うように、いちから何かを作るという自主性や発想力を培うとと もに、自然や人と関わる機会を作ることをこれからも続けていきたいという。

幼いころの思い出の地をこれからも守りたい

 「NEWSみくまりの森」という広報紙が設立当初から毎月1回欠かさず発行されており、現在では69号まで発行されている(2012年11月時点)。写真付きでの毎月の活動報告は、森林公園の管理棟や町役場などに掲示されている。100人近い近くにいる会員全員にも配られている。「普段の活動には参加出来ない会員の方からも「こんなに綺麗になったんだ」と感想をもらえることもあ り、毎月出すやりがいを感じる」と広報誌を担当されている中村哲彦さんがうれしそうに語ってくださった。
 活動の中心年代層は60代から70代で、若い世代の参加が課題だというみくまりの森サポートクラブ。しかし活動を始めてまだ6年。みくまりの森のことやそこでの思い出を嬉しそうに語ってくれる団体の方の熱意に刺激を受ける人は多いに違いない。課題を少しずつ克服しながら、みくまりの森に沢山の人が癒しを求めに訪れる未来を期待したい。
活動に参加して―執 筆担当:内村美沙季(早稲田大学政治経済学部政治学科) まだ蝉の鳴き声がしていた取材日から1か月、水分峡はすっかり秋模様となっていた。午前中はあいにくの雨だったので、屋根のある活動場所で丸太をチップにする作業を行った。しかし、午後になると天候が回復して松枯れした木を伐採する様子を見学することができた。
 整備しなくてはならない規模を考えると1つ1つの作業はちっぽけなものに感じた。しかし、少しずつ綺麗になっていく様子を団体の方々が楽しんでいるのが伝わってきた。60代から70代の方が中心の団体だが、いくつになっても目標を持って頑張っている人たちはとても輝いていてかっこいい。森林の現状を知れるとともに、そこで頑張る団体の方の温かさや生き生きとしている姿に刺激を受けた。
会長の小林さんに公園内を案内していただきました