企業CSR・社会貢献活動

ファイザー株式会社

2000年より具体的に展開をはじめた社会貢献活動も、いくつかのプログラムを展開するまでになりました。今後は、これらのプログラムにより社員が関われるような仕掛けを考えていきます。

地域で取り組む輝く親子の絆作りプロジェクト
マイママ・セラピー(団体のウェブサイト

多くの歌に詠まれてきた逢坂山。その麓にある大津市は、琵琶湖の南端ということもあり、昔から畿内と東国を分ける交通の要所であった。京都、大阪へのアクセスのよさから、近年は住宅開発が進み、滋賀県全体の人口増加率は全国5位(※)となっている。
 人口増とともに、地域に相談相手を持てず、子育てに不安を抱えるお母さんたちも増加。マイママ・セラピーでは育児教室を通して、そうしたお母さんたちに仲間つくりの場と情報を提供している。自身も子育てに悩んだ経験があり、その体験をもとに活動を立ち上げたという、代表の押栗泰代さんに伺った。 (※:平成16年10月1日現在推計人口(総務庁統計局))

-マイママ・セラピーの設立の経緯から教えてください。

立ち上げは2000年です。最初の年は各地の児童館を回って、200組を超えるお母さんたちと子どもたちを相手に、タッチセラピーなどを行っていました。しかし、既に4年間子育ての経験があるお母さんにアドバイスをしようとしても、それまでの経験から培われた考え方を否定することはできません。また毎回、対象が多いために丁寧なフォローもできず、限界を感じていました。そこでその翌年から独自に場所を借りて、0歳児に限定して、母子が集まれる教室をはじめたのです。

-他の公的なサービスも充実してきていますが、マイママの特徴や大切にしていることは何でしょう。

私を含めて保健師が2名いて、専門的な視点ももってお母さんの不安を解消できるというのが、喜ばれているようです。
 参加者の中には看護師や助産師、学校の先生もいますが、仕事の専門性は、子育てとは関係がありません。私の子どもは一時、発育が遅く、検診で引っかかったことがありました。保健師として大丈夫だと分かっていましたが、母親として抱える不安は、解消されませんでした。子育てをしていると「大丈夫かな。でも心配だな」、と思うことが多く、客観的な目で確認をしてほしいときがあります。私たちは、ずっと成長の経過を見ているので、「ここは先月からこう変わっていて、次はこういう発達をする。それは育児書には書いていないかもしれないけど、問題ないことだから、心配しなくていいよ」と、根拠に基づいて説明するようにしています。
 心配なときにSOSを出したら、すぐに専門的に対応してくれる人がいる、ということがわかっていると、とても安心できます。だからお母さんたちには「私はいつもここにいるから、いつでもおいで」といっています。
 特に大津市は転勤族の方が多くて、身近に親がいなかったり、地域コミュニティに溶け込めないことも多く、誰に相談していいのかもわからず、孤立してしまうことが多いのです。だからここで、お母さんたち同士が情報交換できるコミュニティを、作っていきたいのです。
教室の中でこまめにお母さんに声をかける押栗さん。何気ない会話の中からお母さんの不安を聞き、相談に乗る。

-子どもたちも、コミュニティの中で育っているかいないかで、発達の具合や他人との接触の仕方が、変わってくるのでしょうか。

変わってくるのは、お母さんたちだと思います。
 子どもは自分なりの個性を持っていますから、親からの愛情だけでも、すくすくといい子に育っていくと思います。けれども、お母さんの世界が広がらないと、子どもの世界を広げてあげられません。つまり、マイママの対象は0歳児ではなくて、0歳児をもつお母さんたちです。
 例えば、お母さん同士が教室の中で何回か出会ってコミュニティができあがっていると、子どもたちがおもちゃの取り合いをしたり、ちょっと叩きあいになっても、母親たちの間に「ここまでは大丈夫、見守ってあげようよ」、というルールができてきます。そういうものを受け入れながら、子どももお母さんも、0歳から一斉にスタートして、同時に1歳、2歳を迎え、成長していかないといけないんです。

-今年は新聞の発行やウェブサイトの構築など、情報発信も積極的に取り組まれました。一方で教室は定員オーバーが続いていると聞きます。お母さんの状況を知ってほしい一方で、受け入れ切れない部分をどう解消していけばよいでしょうか。

0歳児を抱えるお母さんたちは、手をかけ、目をかけ、声をかけの段階ですが、子どもが3歳になると、見守りだけでよい段階になります。そうするとお母さんたちは、マイママを卒業し、育児サークルを立ち上げるなど、自分たちで活動を始められるようになります。こうなれば各地にどんどん拡がっていきます。マイママの活動自体は、教室を増やすなどの拡大をしなくてもいいと思っています。
 一方で保育や医療の専門性が必要とされる部分もありますので、社会福祉協議会や医師会などとのネットワークを拡げて行きたいと思っています。
 これまでの経験から、行政の施策では9割の人はカバーできますが、その1割の人たちが漏れてしまうと感じています。大津市全体で、毎年約3,000組の親子が誕生していますので、300組は孤立してしまうと言えます。マイママで年間対応しているのは150組なので、残り150組が孤立したままです。その1割の人を、地域のネットワークの中でサポートして、さらに広く波及していければいいなと思っています。
教室風景。5回の講座を通して、お母さんたちは独自に情報交換も重ねていく。教室卒業後も連絡を取り合う人たちは少なくない。