企業CSR・社会貢献活動

花王株式会社

花王は、「よきモノづくり」を通じて、豊かな生活文化の実現に貢献できることを使命としています。"よきモノ"をお届けする事業活動とともに、よき企業市民として、社会に貢献することを目的に社会貢献活動に取組んでいます。

ひだか憩いの森サポートクラブ

 水車、並木道、川に飛び込む少年たち、虫を捕まえる親と子。大切にしたい風景や日常の1コマがこの地には多く存在している―埼玉県日高市。9月になると真っ赤な曼珠沙華が一面に咲き乱れるこの地では、豊かな自然があふれ、きっと誰もがなつかしいと感じる場所だ。
 今回そんな素敵な日高市で森づくりの活動をしている団体、「ひだか憩いの森サポートクラブ(以下、憩いの森)」の皆さんにお話を伺った。

地域のために、価値ある場所へ

 「憩いの森」は、代表の望月綾子さんを中心に、公民館と協力して2007年4月にスタートした。現在、いつも活動に参加している正会員は20名程で、月に1度総合公園の一角にある民有地を活動場所にしている。また、月に2度の花畑づくりは市の空き地を借用しての活動となっている。
 発足のきっかけは、公園が多くの市民で賑わっている中、約0.9haの民有地だけが手入れされず、ぽつんと孤立してゴミが多く散乱していたことまた、公園の空き地は雑草でいっぱいになっていた。市民の財産である総合公園を多くの人や子どもたちに利用してもらい、落ち着ける美しい森にしたいとの思いから、同年、地主の方から森に入る了解を得て、活動が始まった。
光が差し込む温かな活動場所は、「憩いの森」の皆さんの努力の結晶。

「向こうが見えたぜーい!」

 当初、森は木が生い茂り、向こう側が全く見えず、暗かった。最初は間伐や草刈りから始めた。あっという間に伸びてしまう笹や藤づる、土が柔らかく木を引きずって運ぶことができないこと、蛇がいるかもしれないという恐怖。これらと格闘し地道な苦労と手入れが続いた。
 そして3年後、「向こうが見えたぜーい!」と大歓声の声が。暗く見通しのきかなかった森が、木漏れ日の溢れる居心地のいい森へと生まれ変わったのだ。また平らな道だけでなく、低木の木々を密集させた場所を残すことでキジの巣ができ、小ネズミやモグラが多く住むするようになった。森の中に人だけでなく動物も憩える場所となったのだ。3年の歳月をかけ、こつこつ作業を続けてきた努力が実を結んだ瞬間は、皆さんにとって忘れられない一場面となっている。

人をつなぐ力

 「憩いの森」では、地域の人との関わりをとても大切にしている。 公民館と一緒に日高市のボランティア団体として、地域のお祭りや行事があるときは率先して手伝いをしている。公民館の文化祭では、子どもたちと仲良くお餅をついたり、一緒に屋台を盛り上げ、周りの人を温かい笑顔で巻き込んでいる。また公民館の理解のもとで活動できることや協力してくださる方々への感謝も忘れない。それは会員の方々が趣味で活動を行っている研究会や老人会のイベントに積極的に参加し、地域との交流をずっと大切にしていることにも繋がっている。こうした人を思いやる心や些細な気遣い、人をよく知ろうという気持ちの積み重ねが信頼を育み、「地域に憩いの場を還元していく」という思いを体現しているのだ。
憩いの森の皆さん。終始笑いが絶えず、全員がつられてしまうほど。

手作りのプレイパークを

 「憩いの森」では、自然と楽しく触れ合えるイベントを行っている。子どもたちが考えながら自然を楽しめる「ネイチャーゲーム」、自然を満喫できる「憩いの森ふれあいコンサート」、シジュウカラの巣箱の中をのぞけるイベント「冬の巣箱の中をのぞいてみよう」など、わくわくするような企画が盛りだくさんで、大人まで目を輝かせて夢中になってしまうほどだ。
 三つ子の魂百までという言葉があるように、幼少期に体験したことが、親になった時、「あの時の自然をわが子にも見せてやりたい」と思うようになる。その想いを「憩いの森」の皆さんは多くの子どもに引き継いでもらいたいと語る。
 残念ながら、この森はまだ整備途中で、イベント時以外は自由に入ることができない。
 しかし、将来作りたい森のイメージを尋ねると、「子どもたちが通れるように3本くらい道を作りたいな~」と笑顔で話してくれた大河原太さん。子どもたちが、自然を肌で感じながら安全に遊べる森をつくりたいという強い思いが伝わってきた。

「憩いの場所」

 終始笑いがはじけ、はつらつとした笑顔とユーモアで出迎えてくださった「憩いの森」の皆さん。ここまで整備するまでの話も冗談混じりに熱く話ってくれた。苦労も笑いに変えられる力が「憩いの森」の皆さんの強さなのだろう。
 「皆さんにとって憩いとは?」という問いに、「そりゃあ何だろなー」と照れながらも笑顔で語ってくれたのは「人とのつながり」。一人ぼっちではなくみんなで団結し、大工や園芸家といった様々なメンバーと話すことが一番の楽しみであり、原動力だという。作業後10人ほどが集まって、ほっとする休憩時間のおしゃべり、自然と笑顔になれるマイペースな雰囲気。隔てのない、まるで家族のような温かさがここには溢れている。
 「汗をかくのが楽しい」という皆さん。「まず楽しもう!」という心が、作り上げた憩いの森に陽だまりのような空気を注いでいる。
活動に参加して-執筆担当:小野瑠沙(獨協大学国際教養学部言語文化学科) 活動では、そばの実の摘みとりと公民館の文化祭をお手伝いさせていただきました。地道な作業も笑顔いっぱいに楽しんでいる姿、文化祭では腕をまくりあげ、活気に満ちあふれた姿からは、ふるさと日高への愛情を感じました。そして森を通じて、人は自然と家族のような温かい関係を育むことができる。「憩いの森」の皆さんとの活動を通して、学ばせていただきました。私たちが口にする水、野菜、お魚そして空気。全てが森を原点として育まれていることを忘れずに今後も森への活動を続けていきたいです。
 「憩いの森」の皆さんの温かさ、気遣い、ユーモア満点の人柄からは、会うたびにいつもとびっきりの笑顔と元気をもらい本当に感謝しています。皆さんと一緒に過ごせたことは、私の一生の宝物です!お会いできて幸せだなー!本当にありがとうございました。
写真右、学生レポーターの小野